螺旋のかけら

あとがき

 作者の気まぐれで始まった「暁の大地」外伝、「螺旋のかけら」にお付き合い頂き、有り難うございました。本編より十年ほど前の、王都のコルフォース兄弟の物語です。
 キャラは確かに本編と繋がりがあるのですが、本編で重要な要素となるエルフや魔法はまったく出てこないため、別の扱いとしました。

 こちらの主人公は本編主人公のダレットの兄、ジェラルド。本編第一章、第二章にも少しだけ顔を出しています。弟とは正反対の「くそ真面目」な性格の男、としてキャラを作っており、当初はそれほど重要な役所でもなかったのですが、コルフォース兄弟の設定を作っているうちに段々愛着が沸いてきまして。
 ジェラルドには本編時点で妻子がいる、という設定は当初からありましたが、ふと「こいつの奥さんはどんな人だろうな」と思いまして。その結果浮かんだのがこの物語です。

 しかし、ジェラルド目立てませんでしたね。主人公のはずなのに、美味しいところはほとんど姉と妹に持って行かれているような……。ここらへんは「暁」のダレットにも通じる部分があります。やはり兄弟、嫌なところばかり似ています。女心に鈍いところとか苦労が報われないところとか……ううむ。コルフォース家というのは、代々こんな男ばかり輩出する家系なのでしょうか。
 本編のヒロインのはずが、どうも落ち込んでばかりだったエリファーナ。出番も少なかったですし。ギャグに走りがちな他のキャラとは対照的に、一人でシリアスをやってました。私はこういったタイプのキャラが非常に苦手で、かなり苦労して書いていました。
 ラティン家は伯爵位を持っていますが、コルフォース家は侯爵位です。臣下の中では侯爵位が最高(公爵位は基本的には王族のみ)ですから、やはり名門なんです、この家。ただし、コルフォースの侯爵位はゴフセフ(ジェラルドらの父)が保持していて、ジェラルドはまだ正式に爵位を相続していません。そのため、父を指す場合はコルフォース候、息子を指すにはコルフォース卿、と慣例的に呼び分けしています。……以上、知らなくてもまったく問題のない裏設定でした(笑)。
 で、上の二人を吹っ飛ばして目立ちまくっていたのがマリアテーゼ。正直、こいつがいたからこの話が成り立ったようなものです。ジェラルドとエリファーナだけだったら、絶対に書けませんでしたよ私は(笑)。便利な奴です。有り難うマリア、あんただけが頼りだったよ……。とにかく苦労せずに書けるキャラでした。書いていて楽しかったですし。私はやはり、こんなくそ生意気な女の子が好きなようです。自分の側にいたらごめんですが(笑)。
 本編では主人公のはずのダレットも、こちらではマリアテーゼにひたすらこき使われていました(幾らか性格も違いますし)。ラウラもしかり。ダレットが女に弱いのは、もしかしてこの姉たちのせいじゃあ……? などという考えも浮かびましたが。個人的にお気に入りなのはお茶目(?)な戦う執事さん、グラディス。結構いい性格をしています。こんな人、近くに一人いたら色々と助かりそうなのですが。
 最後に登場して美味しいところを持っていったアリエノール姉さん。最強、最凶、最恐? ……どれも当てはまるのが恐ろしい(汗)。アリエノールの趣味は料理です。彼女が包丁を握っている様子を想像しただけで恐いです。小さいダレットに「……邪魔しないでね?」と包丁片手ににっこりと笑い、トラウマを植え付けていそうな気がします(笑)。

 実は「暁」には初稿と第二稿がありまして。現在連載中なのは第二稿になります。初稿はほとんど最後まで書き上がっているのですが、それを一部、もしくは全面的に書き換えて掲載しています。
 初稿の時点では、ジェラルド兄は出番などまったくありませんでした。と言うより、設定などまったく決まっていませんでした(笑)。ただ、ダレットに兄がいるという一文のみ(親父さんは少し登場していました)。それが、第一章を全面改稿した際、シーンの都合上兄貴も出そうということになり、ジェラルド兄が登場。その後ちまちまと出番を獲得しました。
 以前に人気投票をやった際、出番の少なさにも関わらず予想外の健闘を見せたので、「これなら大丈夫だろ」と外伝の連載に踏み切ってしまいました。元は端役ですらなかったのが、外伝で主人公までやったのですから、改稿で一番得をしたキャラかもしれません……。

 だらだらと、本編で語りきれなかったエピソードなどを語ってみます。

 「螺旋」と「暁」には十年ほど間がありますが、その間にジェラルドに長女が生まれています。シュルミエール・コルフォース、「暁」本編時点で四歳。仕事でお父さんがあまり遊んでくれないので、すねているとかいないとか……。
 「螺旋」のエピソードの後、エリファーナは屋敷を売るという形で借金返済、それからジェラルドと結婚しています。同時に痛み分けのような形で、レンディールも商会の会長から引退させられ、副会長に権限の一切を委譲。ちなみにその副会長の姓が「ペトラルカ」です。ここの息子が将来のラウラの夫だったりします。……レンディールにしてみれば、一生コルフォース兄弟(と言うよりマリアテーゼ)の監視の目がついているようなもの……自業自得とは言え、哀れな奴です。

 あまり長く書いてもきりがないので、このくらいにしておきます。
 最後になりますが、最後まで読んで下さった方、本当に有り難うございました。

 
Copyright©2001-2007 Shu Fujimura All Rights Reserved.